靴を履いて走るのが当たり前になっていますが、靴を履くことで人間が本来持っている「動物としての自然な動き」が妨げられることがあります。ここでは、裸足ランニングとシューズランニングの違いを整理してみます。
靴があるからできてしまうこと
靴を履いていると、着地衝撃が強すぎても靴底のクッションが守ってくれるので、本来なら危険なほど強く着地しても走れてしまいます。
さらに靴底のクッションがバネのように働くため、体の屈伸をあまり使わなくても前へ進めます。
また、靴底の摩擦を利用できるので、裸足ではできない「蹴る」「擦る」といった動きも可能になります。
つまりシューズランでは、裸足では不可能なフォームや動作が成立してしまうのです。

フォームの違い
裸足で走る場合、着地はフォアフット〜ミッドフットになります。
ただし前傾しすぎると前足部に体重が集中してしまい、路面の刺激を強く受けます。
そのため自然と、前傾でも後傾でもない、体重をうまく分散できるニュートラルな重心に収まります。
一方シューズの場合は、クッションと摩擦があるため、前傾でも後傾でも走れてしまいます。結果として、フォームのバリエーションが裸足よりも広くなります。
上下動と衝撃吸収の違い
ランニングでは「上体が上下に揺れないフォームがエネルギーロスを減らす」とよく言われます。これは裸足でもシューズでも同じです。
ただし裸足ランでは、上下動を完全にゼロにするイメージではなく、腰から下を柔軟にして衝撃を逃がすイメージが大切です。
上体が硬すぎると衝撃を吸収できず、かえって膝や腰を痛める原因になるためです。

裸足に切り替える時のリスク
靴を履いて走る感覚のまま裸足になると、体が覚えている「靴底と路面のギャップ」がゼロになります。
そこにはバネも滑り止めも何もないため、いきなり走れば大きなダメージに直結します。
- 骨折
- 火傷
- 血豆・水ぶくれ
- 裂傷
- 膝や腰の故障
これらのリスクがあるため、裸足ランは
- 急に距離を伸ばさない
- スピードをセーブする
- 芝生や砂浜など安全な場所から始める
といった工夫が欠かせません。
長期的な違い
靴は履けば履くほど靴底がすり減り、着地の癖によっては一方が偏って減ってしまいます。その結果、O脚やX脚といった脚のバランスをさらに悪化させる可能性があります。
いっぽう裸足では、走れば走るほど足裏の皮膚が強くなり、足裏の筋肉やふくらはぎ、さらにはインナーマッスルまでが人間本来の必要な分量で育っていきます。

まとめ
裸足ランニングとシューズランニングは、同じ「走る」でも体の使い方が根本的に異なります。
靴が与えてくれる安心感の裏側には、自然な動きを奪う面もあります。裸足で走ると危険もありますが、その分、人間本来のバランスや感覚を取り戻すことができます。
無理せず、まずは短い距離から。安全な環境で、体を慣らすことが大切です。
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